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韓国語に直訳してもピンと来ない日本語表現_その2

韓国語に存在しないビジネス挨拶「お世話になっております」
こんにちは!
Jay consultant 代表取締役の李です。
前回は、日常生活のレジでよく耳にする「1,000円ちょうどいただきます」という表現を取り上げました。今回は視点をビジネスシーンに移し、日本の職場や取引でほぼ必ず登場する挨拶「お世話になっております」について考えてみます。翻訳に携わる方であれば、これをどう訳せばよいのか、一度は悩んだ経験があるのではないでしょうか。
このフレーズを文字通りに訳すと「世話になっている」、つまり相手に介護や扶養を受けているような響きになってしまい、ビジネスの場面では不自然に聞こえます。つまり、「お世話になっております」は直訳が通用しない典型的な日本語表現です。
日本ではビジネスメールや電話の冒頭において、この表現がほぼ定型文として使われています。相手への敬意を示し、関係性を確認する意味合いが込められており、多少曖昧であってもやり取りを円滑にする潤滑油のような役割を果たしています。
一方で、韓国にはこれに完全に対応する表現は存在せず、挨拶であれば単純に「こんにちは」、感謝を伝えたい場合は「いつもありがとうございます」、関係性を強調するなら「日頃のご支援に感謝いたします」といった具合に、状況に応じて言葉を切り替える必要があります。
この違いは文化的な背景から生まれています。日本では「お世話になっております」が儀礼的な関係確認として定着しており、曖昧さを含んでいても安心感を与えます。それに対して韓国では、感謝なら感謝、依頼なら依頼と、意図を明確に言葉にする傾向が強く、挨拶も実用的な意味が前面に出ます。
従って、「お世話になっております」は日本社会特有の挨拶であり、翻訳や通訳の現場では直訳を避け、文脈に即した表現を選ぶことが欠かせません。挨拶一つにも文化の違いが映し出されています。こうした背景への理解が、言語を越えて人と人とをつなぐ土台になるのではないでしょうか。
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