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通訳時に、韓国語では表現しづらい日本語独特のニュアンス_その1

通訳時に、韓国語では表現しづらい日本語独特のニュアンス_その1

日本語独特のニュアンスって興味深い

こんにちは!
Jay consultant 代表取締役の李です。

韓国語は、日本語と文法が近いし、その他いろいろ共通点が多いので、両者は翻訳しやすいです。しかし中には、どうしても韓国語へ訳せない日本語独特の表現がいくつか存在しますので、今回はそのうちの1つをご紹介したいと思います。

それは皆さんが普段よく使う、
・〇〇(行為)させていただきます
・〇〇(立場)をやらせていただいています
などのフレーズです。

このような言い回しは、普段よく使いますよね。
この表現自体がそもそも日本語として間違いだという見解も多々ありますが、一旦その議論は横に置いておこうと思います。

「〇〇」に具体的な単語を入れてみます。
例)私は営業部の部長をやらせていただいています

この文章には2つの意味が存在していると思います。
① 私=営業部の部長
② 私が部長になることができたのは、自分の力ではなく、みんなのおかげである

「やらせていただいています」などの表現は、相手への敬意を示し自分を低く見せたいときに使いますよね。②の本質は、へりくだった気持ちを伝えることですが、この②が韓国語では表現できないんです。できないというより、そもそも、そういうへりくだった言葉の概念が韓国では存在しません。もちろん人としての謙虚な姿勢は韓国でもありますが、文章の表現としては存在しません。

韓国では、
「何(主語)がどうした」という
実態のみをストレートに伝えます。

そのため上記例文を韓国語に翻訳すると①しか伝えられませんし、そもそも②の要素は作文不可です。かつ②の要素がなくても、韓国では失礼に当たりません。

②を除外し①のみで作文すると、
“私は営業部の部長です”
という文章になると思います。

実態だけを伝えるには①でも問題ないですが、日本の文化としてはやはり②を盛り込みたいと思う人が多いですよね。ただ韓国語では②を表現できないので、

①のみ:私は営業部の部長です
①+②:私は営業部の部長をやらせていただいています

どちらの日本語でも、私が韓国語へ訳すと、
結果的に「私=営業部の部長」という事実のみを受け手に伝えることになります。

このような背景から、
発信者(日本人):私は営業部の部長をやらせていただいています

通訳者(李):「私は営業部の部長です」へ頭の中で修正

受信者(韓国人):「私は営業部の部長です」を韓国語へ通訳

という流れになります。

通訳をしていて、私自身も②を伝えられないのがとても心苦しいです。
何かいい方法がないものかといつも頭を悩ませています…

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